永遠なんてものは、有り得ない。
そう・・・




有り得ないんだ。






「人は等しく、終わりを迎える。
それが、どのような死であるのか、その違いしかない。」
「十代目・・・?」
「ねぇ隼人、俺が死んだら・・・
後の事は任せたよ?」
「何を・・・・?」

見開かれた目。
こんな事、彼にはきっと話せない。
話せばきっと、彼は怒り、哀しむだろうから。
いや、哀しんでいるのは、目の前の彼も同じなんだ。
子どもの頃から、俺を慕いってきた彼も、悲しそうに顔を歪ませている。

「いやね、いざって時にボンゴレを任せられるのは隼人だからさ。
今のうちに言っておこうと思って」

そう言って、笑ってみせる。
俺が笑うと、彼は何も言えなくなって、頷くしかできないから。
我ながら、何て残酷なのかと考える。
でも、俺にはこれしかない事も、俺は十分分かっていた。


隼人が出て行ってから10分も経たない内に、廊下を走る音が聞こえた。
何と無く、予想は出来る。
いや、俺はこうなる事も分かっていた。
全て、わかっていたんだ。

「ツナ!!!」

勢い良く開け放たれた執務室のドア。
そのドアを開いた人物は、怒ったように眉間に皴をよせて、荒く息をしていた。

「やぁ武。
何かあった??」

白々しく、笑ってみせるが、彼の表情は一行に緩まない。
更に眉間の皴を増やすだけ。
荒っぽくドアを閉めると、ドカドカと俺に近付く。
俺は一歩も動く事無く、その様子を見つめている。
彼が俺の前に立ったとき、一気に視界は暗くなり、感じなれた体温に包まれていた。

「獄寺に・・・聞いた・・・」
「まったく、隼人は口が軽いなぁ」
「そんな事はどうでも良い!
どう言う事なんだよっ」
「どう言う事もないよ。」
「じゃあ何であんな事っ・・・」
「俺はマフィアのボスだからね。
ファミリーを守る義務がある。
その為に死ぬ事だって、俺は厭わない
だから・・・ね?
そうなった時に、誰かにボンゴレを引っ張ってもらわなきゃいけない。
それを、隼人にお願いしたんだよ」

一言一言、いつもの様に言葉を紡ぐ。
その度に、武の腕の力が強まっていく。
顔は笑っているのに、心が痛くなった。

「何で・・・そんなこと・・・態々・・・」
「・・・・・」

武の質問に、俺は答えない。
ただ、微笑むだけ。
そう、此処から先は、誰にも言えない。
言うわけにはいかない。
言ってしまえば、きっとこの作戦は失敗してしまうから。
だから、俺はただ笑ってみせた。

「ツナ・・・お前、まさか・・・」
「大丈夫
武が心配してるようなことは、何も無いから」

そう言って、また俺は笑った。
彼の好きな顔で。







残酷な微笑み
俺は、卑怯者だから、こうして笑う事しか出来ない。


10年後の山ツナお題シリーズの第二話(笑
ツッ君はボスになったら命令するときは笑顔なんだと思う!
それで獄寺とか山本とかはツナのその顔に負けるんだよ!!←

    

inserted by FC2 system