「随分山奥まで来ましたねぇ」
「あぁそうだな、寒い」
「ばぁさんの話しじゃ、知る人ぞ知る秘湯って話しだからな」
「らしいな、寒い」
「この時期は温泉なんてどこも予約でいっぱいなのに。
こんなところでゆっくりとお湯に浸かって冬休みを過ごせるなんて夢見たいね」
「そうだな、寒い」
「お前さっきから寒い寒いって・・・
寒いしか言えねぇのか!!!」
「だって銀時・・・俺寒いの嫌い」

江戸から大分離れた山奥にある温泉旅館。
俺たち万屋一行は、
お登勢の計らいで暫くそこに世話になることになっていた。

「はぁ・・・しゃーねぇなぁ・・・ほら。」

何時間もバスに揺られ到着した山の中は雪に覆われ、
寒さも都会以上。
寒さに弱い俺にはまさに地獄。
到着早々俺は一人帰りたくなった。

「何・・・?」
「何じゃねぇよ、
寒いんだろ?手出せ」
「もぅ銀さんったら、
こんなところでいちゃつかないでください。」
「そうアルよ、は私のネ。
、こっちくるよろし」
「何言ってるの神楽ちゃん。
さんは私のです。
さ、さん。
私が暖めてさしあげます。」

いつものように手を差し出す銀時。
呆れたように眼鏡を押さえている新八。
こっちに来いと言いつつ既に俺にくっついている神楽。
そしていっそ恐怖すら覚えるほどにこやかに微笑んでいるお妙。

「(あー・・・面倒くせぇ・・・・)」

心の中で呟いて、
俺はお妙の隣に並び、銀時の手を取った。

さんって、いつも銀さんの傍にいますよねぇ」
「何だ新八、ヤキモチか?
悪いがは俺のだからなぁ」
「アホか・・・」

俺は首に巻いたマフラーに鼻が隠れるくらいまで顔を埋め、
ゆっくりと歩き出した。






「にしても、お登勢・・・何考えてんだか」
「何がです?」
「急に温泉に行って来いって言うから・・・」
「だよなぁ・・・俺もどうにも胸騒ぎがするぜ」

あのお登勢が、急に俺たちを旅行になんか行かせるなんて。
銀時も同じことを思っていたのだ。
まぁ、別に良いけどな。
面倒ごとにさえ巻き込まれなければ。

「人の行為を素直に受け止められなくなったら、人間お終いですよ」
「大丈夫、俺人間じゃないから」
「いや、さん・・・
真顔でそんな事言わないでくださいよ・・・」
「ったく、お前もホント変わらん奴だなぁ」
「煩い銀時」

どうせ俺は、捻くれたものの考え方しか出来ないのだ。
そう言い聞かせ、ゆっくりと先に進んでいく。
シンと静まり返る銀世界の中で、
俺たちの雪を踏む足音だけが響いた。



「・・・・・・・廃墟かよ。」

暫く歩くと、旅館の外観が姿を現した。
が、俺たちはソレをみて唖然と立ち尽くしたのである。
所々の壁が剥がれ、柱の腐りきった旅館。
その周りには、無数の鴉たちが飛び交っていた。

「・・・道を間違えたかしら、廃屋しかないわ」
「新八、お前地図も読めないアルか」
「あれ・・・おっかしいなぁ・・・」

いや・・・地図つっても・・・道は一本しかなかったろ。
とツッコムもの面倒なので、
俺は黙って銀時にくっついて辺りを見渡した。

「えぇっと・・・仙望卿ですよね・・・」
「新八・・・・コレ・・・」
「なんです?さん・・・・・・・・・・・」

新八が地図を捲って探している間に、
辺りを見渡していた俺の目に止まったもの。
“仙望卿”と書かれた看板。
それも字が爛れてなんかおどろおどろしくなってるヤツ。
俺はソレを指差して新八を呼んだ。
すると新八もそれに気付いたようで、顔を引きつらせた。

「まじかよ・・・え・・・ここマジで営業してんの?」
「してるんだろ?
お登勢が電話で予約取ったんだし・・・」
「いや、でもどう見ても営業してる雰囲気じゃねぇだろ此処っ!」

木が腐り鴉が飛び交う廃墟旅館。
確かにどうみても営業している雰囲気もない。
ついでに言えば人の気配もしない。

「私たち、人探してきます。
行こ、神楽ちゃん」
「え・・・」
「おいおい、勘弁してくれよ。
こんなもん完全に妖怪の住まいじゃねぇかぁ」
「・・・・銀時・・・ビビルなよ」
「誰がビビってんだよ!ふざけるなぁっ!」

いや・・・完全にビビってるだろ。
昔から銀時は幽霊だのお化けだのとかが苦手だった。
こんなところに来て平気なわけがない。
でもあまり言うと面倒なのでこれ以上は何も言わないことにした。

「何か僕、別に霊感とかないけど、ここ・・・
何かあれなんですけど・・・・」
「あれってなんだよ・・・」
「出そうってか?」
「・・・はい」
「ちょっとやめてくんない?
がビビルだろうが」

俺は別にビビらねぇよ・・・
と思いつつ一応銀時の面子のために俺は黙って銀時にくっつく。

お妙たちが戻るまでの間、俺たちは廃墟旅館の周りをうろつく事にした。

「銀時・・・あそこ・・・誰か居る」
「あ?
ホントだ、人だ人がいたぞ!
従業員か?」

俺は少し離れたところを歩く女の姿を指差した。
指差して止まった。
銀時は気付いていないようだ。
俺が指差した彼女の通った後には足跡がない。
ついでにこの寒い中彼女は裸足。
影すらもない・・・つまり・・・・

「(言ったら煩いからだまっとこ・・・)」
「すいませーん!僕ら江戸の寺田さんの紹介で来た者なんですけどー。
すいませーん!!
・・・聞こえねぇのか?」

遠ざかっていく人に向かって声を掛ける銀時。
そして、彼の肩を震えた様子で新八が掴んだ。

「なんだよいてぇなぁ・・・」
「銀さん・・・あ、あの人・・・・
雪の上を歩いているのに・・・足跡が・・・付いてない」
「(あーあ、折角俺黙ってたのに・・・)」

新八に言われ、銀時は彼女の足元を見る。
そして絶句する。
彼の言った通り、女の通った後には足跡がない。
案の定大騒ぎしだす銀時。
俺は煩いので耳を塞いで旅館を見た。
きっと此処には、他にもまだ大勢いるのだろう。
そんな予感を抱いて。
てか銀時、半透明な人間なんていないから。
相変わらずコイツはヘタレだ・・・・こう言うときだけ・・・。


「銀ちゃん、、居た居た女将!」
「よかったぁ、ちゃんと営業してたみたいですよ、銀さん
やっぱり大丈夫ですよ、此処」
「営業してるからって大丈夫とは限らんがな」
「こら!お前何言ってんだよ!!!」
「煩い銀時・・・・・・?!」

俺は呆れて銀時から視線を外した。
そして前を向く。
お妙たちの後に女将らしき老婆が立っていた。
後になんか抱えて。

「すいませぇん、もう来てらしたのねぇ。
まぁ今日は態々遠いところからありがとうございました。
どうも、私当旅館の女将、お岩です」

「「?!?!」」

女将を見た瞬間、銀時と新八にも見えたのであろう女将の背後のソレに。
二人は固まり俺を見た。
いや、何で俺を見るのかは分からんが・・・
でもとりあえず俺にも見えているので頷いてみた。
正直なとこ、アレは何か怖い。
銀時の手を強く握れば、銀時もそれに答えるように手を握り返した。

「(後に背負ってるアレ!赤ちゃんだよねっ!
頼むから赤ちゃんだと言ってくれぇっ!)」
「(そう思いたい!でも半透明です!はっきりと半透明ですっ!)」
「(半透明がなんだよ!今時な、政治家だって半透明の時代だよ?
皆汚職とか悪い事やってんだよ!居るよ半透明の赤ちゃんくらい)」
「(銀時、絶対有り得ないから)」
「(さんは怖くないんですか?)」
「(・・・・・・・・・・・怖いから銀時にくっついてる)」
「(・・・・・お前ホント可愛いやつだなぁ)」
「(あの・・・惚気るのやめてもらえません?)」

小さな声で会話しながら、俺たちは女将の後を追う。
しかしながらお妙と神楽は何の反応も示さない。
彼女達には見えてないのだろうか・・・。
何だか羨ましい。

「あれ、絶対幽霊ですよっ
此処幽霊旅館なんですよ!!」
「有り得ん!絶対有り得ん!」
「じゃあ女将のあれ、何て説明するんですか!」
「・・・いや・・・俺もまさかとは思ったけどな・・・
どうやら俺の勘が当たっちまったらしい」
「・・・・?」
「あの女将、スタンド使いだ!」

なんだよスタンドって・・・・
やっぱりこの男は理解不能だ・・・
スタンドと言おうが幽霊って言おうが結局は一緒だっつの。

「あんなスタンドあるかボケぇっ」
「どう考えてもあれはスタンドだろ、あれ。
基本俺たちもスタンド使いだろ?だから見えるんだよ」
「ちょっ、待ってください!いつから僕らスタンド使いになってんですか?!」
「俺は普段隠してるけど、お前いつもだしてんじゃん?
その耳に掛かってるやつ」
「それただの眼鏡使いだろ」
「銀時ー俺のスタンドはぁ?」
「あぁ良いの、お前はお前自身がスタンドだから。
お前は俺のスタンドだから」
「ふぅん・・・じゃあいいや」
「だから惚気んなつってんだろ!!!!」

ぎゃーぎゃーと煩い新八から離れ、俺は壁際を歩く。
ふと目に映った部屋に俺は冷や汗を流した。
なんだよアレ・・・
何頑丈に鍵かけてんのつぁあの夥しい量の札わ・・・

「これが和式・・・何ゆえ和式・・・・」
「いやさん、ツッコムとこ違いますから」
「・・・・・女将・・・・これ一体・・・・」

俺の視線はずっと部屋の入り口を捉えている。
女将はそんな俺を見て苦笑いを浮かべた。

「あのぉ、一時期なんだけどね、
おばさんロックにはまってた時期があってね?」
「ロック・・・あぁ・・・なるほど」
「なるほどって納得出来ねぇだろこれわっ!!!」
「新八煩い」
「まったく恥ずかしいわぁ」
「じゃあこの札わ?」
「行き成り確信?!」
「あぁこれ・・・これはね・・・
前にこの部屋に子連れのお客さんが泊まっててね?
で、その子供がね、旅行ではしゃいじゃって襖に穴開けちゃったのよ」

ふぅん。と気の抜けたような返事をして、
俺は頑丈に鍵を掛けられ札の貼られた部屋を見た。
絶対穴あけたとかそんなんじゃにだろ。
普通にこれなんか曰くあるんだろ・・・
やっぱお登勢の野郎嵌めやがったな。
そんな確信を抱き、俺は和式と言われた部屋の襖を開けた。

「・・・・なるほど・・・・和式ね」
「なるほどじゃないでしょさん!!」
「お前なんでそんな冷静なんだよ!」
「だって・・・・騒ぐの面倒じゃん」
「この物臭男ーーーーっ!!!」

失礼な・・・。
俺は物臭なんじゃなくて冷静なんだよ。
そうココロの中でツッコミを入れ、俺はジッと部屋の中を見る。
部屋の中央に、着物を着て首をつってる男が揺れていた。
銀時と新八は、お妙たちに部屋を交換してもらうべく斜め向かいの部屋に入っていった。
俺もその後を追おうと歩き出した・・・その時。

「っ?!?!」

ゾクッとした感覚が背中を襲った。
俺は無意識に腰に下げていた木刀の柄を握る。
しかし、周りを見渡しても何もない、誰も居ない。
あるのは不気味に続く廊下。
深い闇が広がっているかのように、先が見えない。

『こっちだよ』

誰かの呼ぶ声が、聞こえた気がした。
暗闇の向こうで、手招きしている白い手。
ソレは、俺を捕まえようと伸びてくる。
白い、しろい、血に濡れた白い手。
これは・・・・俺が葬った・・・・

!!」

聞き慣れた声に名前を呼ばれ、ハッとした。
廊下の先には闇などなく、角をまがるどん突きが見えた。
俺は声のした方を向き、見慣れた顔に安堵する。

「銀時・・・・」
「まったく・・・何やってんだよ・・・」
「何でも・・・ただ少し、嫌な事を思い出しただけだ」
「・・・・忘れちまえ・・・俺が全部忘れさせてやるから」
「何それ・・・お前相変わらずだな」
「こう言う俺が好きなんだろ?」
「・・・あぁ・・・・」
「行くぞ、お妙たちに交渉すっから」

俺は銀時に手を引かれ、お妙たちの泊まる部屋に入った。

「・・・・普通に和室だな」
「そうなのよ、部屋に入ったら普通に和室だったの」
以外はさっさと出ていくアル!
狭い部屋にワサワサとウザイアル」

キョロキョロと部屋の中を見渡す。
部屋の中には霊・・・・基スタンドは見当たらない。
立ち上がった新八が縁側に続く襖を開けるまでは・・・

「・・・・なるほど・・・だから洋室なのか」
「だからお前は納得するなぁぁぁっ!!!!」

新八が開いた襖の向こうにあったもの。
それは外人のスタンドだった。
てか何気にコイツ俺と目があったんですけど。
勘弁してくんないかなぁ・・・
俺スタンド嫌いなんだよ。

「てかどうなってんですかこの旅館!!
どこもかしこもスタンドだらけじゃないですかぁっ!」

騒ぐ新八と銀時。
俺はこんな事だろうと思い溜息を吐いた。

「さっきから一体何を騒いでいるんですか?
スタンド?」
「えー・・・うーん・・・まぁ気にすんな。
コイツらが勝手に騒いでるだけだから」
「そうそう、世の中にはな、知らねぇ方が良い事だってあるんだよ」

冷や汗を流し、
新八と銀時はどうしたもんかと困惑した表情を浮かべている。
俺的には話さないで置いた方がいいと思うので
俺は何も言わずに壁に凭れて事の成り行きを見守ることにした。
神楽とお妙は、二人のただならぬ様子を不振に思い、
話を聞こうと二人を見つめていた。
銀時と新八は暫く悩んだ後、意を決して口を開こうとした
その時。

「おやつターイム」

まるで二人が話すのを阻止するかのように、女将が現れた。
手にはカキピの盛られた皿を持って。
どこか女将の笑みに裏を感じた俺は、そっと銀時の傍に寄り
女将の様子を窺う。

「ホント、自分の家だと思っていいからね?」
「(こんなとこが家なんて絶対に嫌だな俺は)」
「(お前・・・そう言う問題じゃないだろ)」
「あ、お風呂掃除したからいつでも入ってね」
「はい、有難う御座います」

お妙が笑顔で礼を述べ、女将は立ち去ろうとゆっくりと立ち上がったその時。
俺たちにしか聞こえないくらい小さな声で囁いた。
その言葉に、俺たち三人は背筋を凍らせる。

「喋ったら殺すぞ」

「・・・」


「・・・」


「・・・」



「「「(女将ぃぃぃっ!!!!!)」」」

俺たち三人は女将を振りかえり震えた。
女将の後に憑いているスタンドに、女将は何故かカキピを与え、
極悪そうな笑みを浮かべて俺たちを見ていたのだ。

「(餌付けされてる・・・)」
「(だからお前そう言うことじゃねぇんだよっ!)」
「(気付いてるっ!あの女将気付いてますよなんか全てにっ)」
「(スタンド手懐けてる・・・
お登勢のやろう・・・帰ったらただじゃおかねぇ)」

女将の本性を垣間見た俺たちは固まり、
そして勢い良く外へ出た。
というか俺は銀時に抱かかえられて有無も言わされずに外へと出た。

「銀時・・・寒い」
「帰ったらあったまりゃいいんだよ!!
そんなことよりも今は脱出だぁぁっ
一刻も早く山を降りるんだよ!!」
「でも寒い・・・」
「うるせー!こんなとこに長くいりゃあ死霊たちの餌食だぞ!
走って山を降りるんだよ!」

そうして銀時と新八は猛ダッシュで山を駆け下りる。
しかし・・・


途中まで行ったところで二人の足は止まった。
落石で道が塞がってしまい、
俺たちは帰る術すら失ったのだ。
言葉が出ず、ただ乾いた笑いしか出なくなった銀時と新八は、
項垂れながら宿へと戻った。
因みに俺は終始銀時に抱えられていた。



色んな事を諦めた俺たちは、宿に戻ると温泉に入ることになった。
女湯では神楽とお妙の楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
良いなぁ、俺も女の方が良かったかも。

」、諦めろ。
どっちに行っても状況はかわらん」
「そうですよ・・・・
姉上たちには見えてないだけ・・・なんですから・・・」
「・・・・・はぁ」

何も知らないというのは実に羨ましい。
野猿が入ってきているらしく楽しそうに此方に話しかける彼女達。
神楽に至っては刺青もんに囲まれたのかと此方を茶化す始末。
まったくもって羨ましい。

「・・・銀時・・・」
、何も言うな」
「こんなんに囲まれるくらいなら刺青もんの方がまだマシですよ」
「・・・同じく」

「気絶しろ!俺気絶しろぉっ!」
「銀時、俺お前が気絶したらヤダ」
「・・・・悪い、やめとく」
「うん・・・あーあ血でてるじゃんもぅ・・・」
「悪かったって」
「だからぁっ!!
何であんたらは一々いちゃつくんだよムカツクなぁっ!!!」

気絶しようと必死に岩に額を打ち付ける銀時。
そしてそれを止めるために俺は銀時に引っ付く。
俺が言えばすぐやめるのだ。
なんとも扱いやすい。
そして俺たちのやり取りを見ていつもの如くツッコミを入れる新八。
でもこれはツッコミではなくやっかみではないかとも思っている。

「ん・・・?
ちょっとまて・・・コイツラ良く見たら湯気じゃね?」
「「いや、違うから」」
「いーや、絶対湯気だって!
ほら新八、試しに吸ってみ。」
「何でだよ!」
「いいからほらっ」

湯気だと言い張る銀時。
否定する新八の頭をスタンドの方に向けた。
頭をスタンドの方に向けられた新八は思わず息を吸い込む。
すると・・・

「・・・・・・・閣下・・・・?」
「なんともないっスねぇ」
「いや・・・何ともなくねぇよ」
「あれ、さん・・・どうかしましたか?」
「とりあえず謝っとくわ・・・・すまん」
「え、何でですか?」

首を傾げる新八。
彼は気付いていないのだ。
自分の髪が不自然に立ち、顔が閣下になっていることに。
余りにも不釣合いな顔に、俺は笑いを堪えている。
が、銀時はそれ所じゃないらしくバツが悪そうな顔をして謝っていた。


風呂から上がると、俺は額を押さえ、銀時は固まっていた。
何故かお妙と神楽までもが閣下になっていたのだ。
もうコレは俺的には笑うしかない気もするが笑える状況でもない。
と言うか、誰がどいつかわからない。
これは全員が閣下なのか?
それもそれで可笑しいだろ。

・・・・とりあえず色々違う事に気づけ。」
「面倒じゃん・・・」

俺に呆れたらしい銀時は深く溜息をついて、
閣下と化した三人を見やる。
どうやら三人はウノをするらしく、
変な笑い方で笑いながら部屋へと戻って行った。

「おいおいおいおい・・・どうすんだよアレ」
「・・・それは・・・女将に聞くしかないんじゃない?」

俺と銀時は後を振り返る。
女将の不気味な笑い声が廊下に響き、俺たちは走り出した。

「こんのぉ・・・ババァ!!!」

銀時が廊下を走りながら女将を追う。
俺は何も言わずにそれについていく。
廊下の電気はついていない。
闇が広がっている。
白い手が 手招きしている。

「っ・・・」

俺は立ち止まりそうになった。

吐き気がする。

血に濡れた  紅い手が  

『こっちだよ』

声が 聞こえて 俺は 

!」

また、呼び戻された。
昼間と同じように、銀時が俺を呼んだ。
気付けば壁、天井、床、襖。
至るところから無数の手が伸びている。
俺は震える手を押さえようと、銀時の浴衣を掴んだ。
すると、銀時の俺よりもでかい手が、俺のてを掴んだ。

大丈夫だ 銀時がいる限り 俺はまだ 大丈夫。

「こいつら・・・一体・・・」
「ここに巣食う悪霊・・・ってとこか・・・?」

無数の手が、俺たちを捉えようと伸びてくる。
銀時は俺を強く抱きしめて胸の中に閉じ込めた。
俺も銀時の浴衣を強く掴んで離さないよう必死だった。


暫くして、何も起こらない事を不振に思った俺たちは、
ゆっくりと顔を上げた。

無数の手が、拍手をしていた。

「なんなんだ・・・一体・・・」
「・・・・さぁ?」
「はぁい、おめでとう。
面接合格。」

女将が後から不気味な笑みを浮かべてやってきた。
面接合格とかなんとか聞こえたが・・・
俺たちはいつ面接を受けていたのだろうか。
頭上に?を浮かべて、俺たちは何やら面倒なことに巻き込まれた事を悟った。






あとがき
長い・・・
無駄に長いっ。
そして夢主と銀さんが一々いちゃつくのは仕様です。
だって銀さん好きだからつい←
あと夢主のツッコミどころが若干ずれてるのも仕様です。
もうすき放題にしてます。
てか夢主はあれですね。
設定読んでも謎な部分が多い←
もうコレはあれだ、連載を書くしかないのではなかろうか
いや・・・宗羅が書きたいだけですはい。
でもまだ予定はないのでいつか。







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